無線通信におけるレイテンシとジッタの問題

目次
無線通信におけるレイテンシとジッタの問題|遅延の揺らぎが通信品質に与える影響
無線通信(Wi-Fi・LTE・5Gなど)では、単純な通信速度だけでなく、 レイテンシ(遅延)とジッタ(遅延のばらつき)が 通信品質に大きな影響を与えます。
特にオンライン会議、音声通話、動画配信、オンラインゲームといった リアルタイム性が求められるアプリケーションでは、 ジッタの影響が顕著に現れます。
レイテンシとは
レイテンシとは、データが送信されてから受信されるまでの遅延時間です。
送信 → ネットワーク → 受信
→ この時間がレイテンシ
単位はミリ秒(ms)で表され、 小さいほど高速な通信となります。
ジッタとは
ジッタとは、レイテンシの「ばらつき」を指します。
10ms → 20ms → 15ms → 30ms
→ この変動がジッタ
平均遅延が低くても、ジッタが大きいと通信品質は悪化します。
なぜ無線通信はジッタが発生しやすいのか
無線通信は以下の特性により、 有線よりもジッタが発生しやすいです。
- 共有媒体(同時通信制御)
- 電波干渉
- 信号品質の変動
- 再送制御
レイテンシの主な要因
1. 伝搬遅延
電波が空間を伝わる時間。
2. 処理遅延
端末や基地局の処理時間。
3. キューイング遅延
混雑による待機時間。
4. 再送遅延
パケットロスによる再送。
ジッタの発生メカニズム
1. CSMA/CAによる待機時間の変動
Wi-Fiでは、通信前にチャネルの空き状況を確認します。
チャネル使用中 → 待機時間変動 → ジッタ発生
2. 電波干渉
干渉によりパケットの到達時間が不安定になります。
3. 再送制御
パケットロス時に再送が発生し、 遅延が増加します。
4. 変調方式の変化
信号品質に応じて通信速度が変化します。
高速 → 低速切替 → 遅延変動
レイテンシとジッタの影響
音声通話(VoIP)
- 遅延 → 会話のズレ
- ジッタ → 音声途切れ
動画配信
- ジッタ → バッファリング発生
オンラインゲーム
- ジッタ → 操作遅延
ジッタバッファの仕組み
ジッタを吸収するために、 受信側ではジッタバッファが使用されます。
パケットを一時蓄積
→ 再生タイミング調整
ただし、バッファを大きくすると遅延が増加するため、 トレードオフがあります。
LTE・5Gにおけるレイテンシ
- LTE:約30〜50ms
- 5G:約1〜10ms(理想)
ただし、実際には混雑や電波環境により増加します。
実務での問題例
ケース1:Wi-Fi環境
干渉によりジッタ増加。
ケース2:モバイル通信
セル切替で遅延変動。
ケース3:混雑環境
キューイング遅延増加。
最適化ポイント
- 5GHz / 6GHz帯の利用
- QoS設定
- AP配置最適化
- ジッタバッファ調整
- 有線接続の併用
よくある誤解
速度が速ければ問題ない
→ ジッタは別問題。
平均遅延だけ見れば良い
→ ばらつきが重要。
5Gなら解決する
→ 環境依存。
まとめ
無線通信では、レイテンシだけでなくジッタが通信品質に大きく影響します。
干渉、再送、共有媒体の特性により、 遅延は常に変動します。
リアルタイム通信では、 ジッタを抑えることが最も重要です。
ネットワーク設計では、 速度だけでなく「遅延の安定性」を考慮する必要があります。





