IPプロトコルとIPアドレス
目次
IPとは?
IP(Internet Protocol)は、インターネットやその他のネットワーク上でデータを送受信するための基本的なプロトコルです。IPプロトコルは、データパケットが適切な経路で送信先に届くようにする役割を担っています。また、IPアドレスは、ネットワーク上のデバイスを一意に識別するためのアドレスです。本記事では、IPプロトコルとIPアドレスの概要とその仕組みについて解説します。
IPプロトコルの概要
IPプロトコルは、データをパケットという小さな単位に分割し、ネットワークを通じて送信します。各パケットには、送信元と受信先のIPアドレスが含まれており、これによりパケットが適切な経路を通って目的地に届きます。
IPプロトコルの主要な機能
- アドレッシング:IPアドレスを使用してネットワーク上のデバイスを一意に識別します。
- ルーティング:パケットが送信元から受信先に到達するための最適な経路を決定します。
- フラグメンテーション:大きなデータパケットを分割し、ネットワーク上で送信しやすくします。
- 再構築:受信側で分割されたパケットを再構築し、元のデータを復元します。
IPプロトコルの仕組み
データの送信プロセス
- データの生成:アプリケーション層でデータが生成されます。例えば、ウェブブラウザでウェブページをリクエストする場合、HTTPプロトコルが使用されます。
- トランスポート層での処理:トランスポート層でデータはセグメントに分割されます。TCPの場合、各セグメントにはシーケンス番号が付けられ、信頼性を確保するために確認応答(ACK)が使用されます。
- インターネット層での処理:インターネット層でセグメントはパケットにカプセル化されます。IPアドレスを使用して、データパケットが送信先までルーティングされます。
- ネットワークインターフェース層での送信:ネットワークインターフェース層でパケットがフレームにカプセル化され、物理的なネットワークを通じて送信されます。
データの受信プロセス
受信側では、このプロセスが逆に行われ、最終的にアプリケーション層でデータが復元されます。各パケットは、IPアドレスを基にルーターを経由して目的地に届き、トランスポート層で再構築されてからアプリケーション層に渡されます。
IPアドレスの概要
IPアドレスは、ネットワーク上のデバイスを一意に識別するためのアドレスです。IPアドレスは、IPv4とIPv6の2つのバージョンがあります。
IPv4アドレス
- 形式:IPv4アドレスは32ビットの長さを持ち、4つの10進数で表されます(例:192.168.1.1)。
- 範囲:IPv4は約43億のアドレスを提供しますが、インターネットの成長により不足しています。
IPv6アドレス
- 形式:IPv6アドレスは128ビットの長さを持ち、8つの16進数で表されます(例:2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334)。
- 範囲:IPv6はほぼ無限のアドレスを提供し、IPv4のアドレス不足を解消します。
IPアドレスの仕組み
アドレッシングとサブネット
IPアドレスは、ネットワーク部とホスト部に分かれています。サブネットマスクを使用して、ネットワーク部とホスト部を区別します。
- ネットワーク部:ネットワークの識別子
- ホスト部:ネットワーク内の特定のデバイスの識別子
DHCPと静的IPアドレス
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol):ネットワークデバイスに自動的にIPアドレスを割り当てるプロトコルです。
静的IPアドレス:手動で設定された固定のIPアドレスです。サーバーやプリンターなど、特定のデバイスに使用されます。
NAT(Network Address Translation)
NATは、プライベートIPアドレスとパブリックIPアドレスを相互に変換する技術です。これにより、複数のデバイスが1つのパブリックIPアドレスを共有してインターネットにアクセスできます。
まとめ
IPプロトコルとIPアドレスは、インターネットやその他のネットワーク上でデータ通信を実現するための基本的な要素です。IPプロトコルは、データパケットのアドレッシングとルーティングを担当し、IPアドレスはネットワーク上のデバイスを一意に識別します。IPv4とIPv6の2つのバージョンがあり、それぞれの特徴と仕組みを理解することが重要です。これらの技術は、ネットワーク技術者やプログラマーにとって不可欠な知識です。