FHSの「/mnt,/media」ディレクトリの概要
目次
はじめに
LinuxやUnix系システムでは、ファイルやディレクトリの役割が明確に定義されています。FHS (Filesystem Hierarchy Standard) によって、システム上のディレクトリ構造が標準化されており、各ディレクトリには特定の役割があります。その中でも、外部ストレージやマウントポイントに関係するディレクトリとして、/mnt
と /media
があります。これらのディレクトリはどちらも一時的に外部デバイスをマウントする際に使用されますが、それぞれの使用用途には違いがあります。本記事では、/mnt
と /media
の違いや役割について詳しく解説します。
/mnt ディレクトリとは?
/mnt
ディレクトリは、主にシステム管理者が一時的にファイルシステムをマウントするための場所として使用されます。外部デバイスやファイルシステムを手動でマウントする際の作業用ディレクトリであり、特に自動マウントされることはなく、手動操作で利用されます。
/mnt の主な特徴
- 手動マウント用:
/mnt
ディレクトリは、システム管理者がディスクやファイルシステムを一時的にマウントするために使用します。例えば、バックアップ用ディスクをマウントしてファイルを転送したり、ネットワークファイルシステムを一時的に利用する場合などに活用されます。 - 汎用的な作業ディレクトリ:
/mnt
はどのファイルシステムでも自由に使用できる汎用的なマウントポイントです。そのため、通常特定のデバイスに固定されることはありません。 - 自動マウントされない:
/mnt
はユーザが手動で操作するため、デバイスを接続しても自動的にマウントされることはありません。管理者が必要に応じてファイルシステムをマウントし、使用後に手動でアンマウントします。
/mnt の使用例
# 外部デバイスを /mnt にマウントする
sudo mount /dev/sdb1 /mnt
# マウントされた内容を確認
ls /mnt
# 使用後にアンマウントする
sudo umount /mnt
/media ディレクトリとは?
/media
ディレクトリは、ユーザが外部ストレージデバイス(例:USBドライブ、CD/DVD、SDカードなど)を接続した際に、自動的にマウントされる場所です。/mnt
とは異なり、ユーザが特定の操作を行わなくても、デバイスが接続されると自動的に認識され、/media
配下にマウントポイントが作成されます。
/media の主な特徴
- 自動マウント用:
/media
ディレクトリは、システムが自動的に外部デバイスをマウントするためのディレクトリです。USBドライブやCD/DVDを接続すると、システムが自動的にマウントし、ユーザは即座にデバイスにアクセスできるようになります。 - ユーザフレンドリーな設計:
/media
ディレクトリは、Linuxシステムに不慣れなユーザでも簡単にデバイスにアクセスできるように設計されています。グラフィカルなファイルマネージャでも、/media
配下にマウントされたデバイスが表示され、すぐに利用可能です。 - 動的にディレクトリが生成される:デバイスが接続されるたびに、
/media
配下にそのデバイス専用のディレクトリが作成されます。たとえば、/media/usb-drive
などのように、デバイス名やラベルに基づいてディレクトリが作成され、使用後は自動的に削除されます。
/media の使用例
# USBドライブが自動的に /media にマウントされる
/media/usb-drive
/mnt と /media の違い
特徴 | /mnt | /media |
---|---|---|
用途 | 手動でのマウント用 | 自動でのマウント用 |
ユーザ層 | 主にシステム管理者 | 一般ユーザでも利用可能 |
マウント方法 | 手動でマウントポイントを作成 | デバイス接続時に自動でマウント |
動作 | 汎用的なディレクトリで特定のデバイスに依存しない | デバイスごとに個別のディレクトリが作成される |
使用例 | 手動でのバックアップや一時作業 | USBドライブやCD/DVDの自動認識 |
まとめ
/mnt
と /media
は、Linuxシステムにおける外部ストレージのマウントポイントとして使用されるディレクトリですが、それぞれ異なる役割を持っています。/mnt
は手動でのマウントに使われる汎用的なディレクトリで、主にシステム管理者が一時的に利用します。一方で、/media
は自動マウントのためのディレクトリで、ユーザがデバイスを接続すると自動的にマウントポイントが作成されます。これにより、一般ユーザが外部デバイスを簡単に利用できるように設計されています。