RAID5

RAID5

RAID 5 の概要と説明

はじめに

RAID 5(Redundant Array of Independent Disks Level 5)は、複数のハードディスクにデータとパリティ情報を分散して保存することで、信頼性とパフォーマンスを両立させたRAID構成です。RAID 5は、データを効率的に保護しながら、パフォーマンスにも優れたバランスが取れているため、多くの企業システムやサーバー環境で利用されています。 本記事では、RAID 5の仕組み、メリット・デメリット、そして主な用途について説明します。

RAID 5 の仕組み

RAID 5は、少なくとも3つのディスクを必要とし、データとパリティ(誤り検出訂正用の冗長データ)をディスク間に分散して保存します。これにより、1台のディスクが故障しても、残りのディスクとパリティ情報を用いてデータを復元することができます。パリティは、各ディスクに均等に分散されるため、特定のディスクにパリティデータの負荷が集中しないように設計されています。 RAID 5では、以下の方法でデータが保存されます。

  • データは複数のディスクに分割されて保存されます。
  • パリティ情報も分散され、どのディスクが故障しても他のディスクとパリティを使用してデータを復元できます。
  • データとパリティが均等に分散されるため、効率的なストレージ利用が可能です。

RAID 5 のメリット

RAID 5は、データ保護とストレージ効率のバランスに優れており、多くのメリットがあります。

  • 効率的なストレージ利用: ディスク1台分の容量をパリティに使用し、残りの容量はデータ用に使えるため、ストレージの無駄が少なくなります。
  • 1台のディスクが故障してもデータ保護: パリティデータを用いて、1台のディスクが故障してもデータの復元が可能です。RAID 5では、1台のディスクが障害を起こしても、システムを停止させることなく動作を続けることができます。
  • 読み取りパフォーマンスの向上: データが複数のディスクに分散されているため、並列にデータを読み取ることができ、パフォーマンスが向上します。

RAID 5 のデメリット

RAID 5にはいくつかのデメリットも存在します。

  • 書き込みパフォーマンスの低下: データを書き込む際には、パリティ情報も計算して保存する必要があるため、書き込み速度が若干遅くなることがあります。
  • ディスク2台の故障には対応できない: RAID 5は1台のディスク故障には対応できますが、2台以上が同時に故障するとデータは失われます。
  • リビルド(復旧)時間が長い: ディスク故障後に新しいディスクを追加してデータを復元する際、リビルドに時間がかかる場合があります。特に大容量のディスクを使用している場合、このプロセスが非常に長時間になることがあります。

RAID 5 の用途

RAID 5は、データ保護とパフォーマンスのバランスが求められる中規模から大規模なシステムでよく使用されます。以下のような用途に適しています。

  • ファイルサーバー: 複数のユーザーが同時にファイルにアクセスする環境では、RAID 5の並列読み取り機能が有効です。
  • データベースサーバー: データ保護と高速な読み取りアクセスが必要なデータベースの運用に適しています。
  • アーカイブシステム: 重要なデータの保管において、コスト効率を考慮しながら信頼性を確保できるRAID 5は最適です。

RAID 5 と他の RAID レベルとの比較

RAID 5は、他のRAIDレベルと比較すると、特にデータ保護とストレージ効率のバランスが取れているのが特徴です。以下は、RAID 5と他のRAIDレベルの違いです。

  • RAID 0との違い: RAID 0はパリティや冗長性がなく、故障時のデータ復旧ができませんが、RAID 5はパリティデータを用いて1台のディスク故障に対応します。
  • RAID 1との違い: RAID 1はデータのミラーリングにより高い冗長性を提供しますが、ストレージ効率が低いのがデメリットです。RAID 5はパリティを使用することでストレージ効率を高めつつ、冗長性を確保します。
  • RAID 6との違い: RAID 6はRAID 5に似ていますが、2つのパリティを使用して2台のディスク故障に対応します。一方で、RAID 5は1台のディスク故障に対応する設計です。

まとめ

RAID 5は、データの保護とストレージの効率的な使用をバランス良く提供するRAIDレベルです。パリティ情報をディスクに分散して保存することで、1台のディスク故障にも対応できる信頼性を持ちながら、ストレージの無駄を最小限に抑えることが可能です。企業のファイルサーバーやデータベースサーバーなど、パフォーマンスと信頼性が求められるシステムで広く使用されています。 RAID 5は、冗長性とストレージ容量を効率的に両立させたい場合に非常に適した選択肢となります。