LXC/LXD（軽量コンテナ管理）

2025年5月12日 2025年5月13日

KoAN

LXC/LXD（軽量コンテナ管理）とは

LXC（Linux Containers）と LXD（Linux Container Daemon）は、Linux 上で軽量な仮想化環境を提供するコンテナ管理技術です。LXC は、Docker などのアプリケーションコンテナとは異なり、完全な Linux システムをコンテナとして実行できる特徴を持ちます。LXD は LXC の拡張版であり、より簡単で直感的な管理が可能になります。

LXC/LXD の特徴

LXC/LXD は、仮想マシンに近い環境を軽量なコンテナ技術で提供するため、以下の特徴を持っています。

フル OS のコンテナ化: Docker のようなアプリケーションコンテナとは異なり、LXC は完全な Linux ディストリビューションをコンテナ化可能。
軽量 & 高速: 仮想マシン（VM）よりも低オーバーヘッドで、起動速度が速い。
セキュリティ & 分離: Linux の cgroups と namespaces を活用し、プロセスやリソースを隔離。
仮想マシンに近い操作性: SSH や systemd をサポートし、仮想マシンのように管理可能。
ライブマイグレーション: コンテナの移動が容易で、クラスタ環境での運用に適している。

LXC と LXD の違い

LXD は LXC の拡張版であり、以下のような違いがあります。

項目	LXC	LXD
管理方法	手動設定 & CLI ベース	簡単な CLI & API ベースの管理
機能	基本的なコンテナ管理	ネットワーク & ストレージ管理、スナップショット、ライブマイグレーション
用途	小規模なコンテナ管理	エンタープライズ向けの大規模コンテナ管理
仮想マシンのサポート	コンテナのみ	コンテナ & 仮想マシン（LXD 4.0 以降）

LXC/LXD の主要コンポーネント

LXC/LXD は、以下の主要なコンポーネントで構成されています。

コンポーネント	役割
LXC	コンテナの基本機能を提供し、システムの分離を実現。
LXD	LXC を管理するデーモンで、CLI や REST API を提供。
LXCFS	コンテナ向けの仮想ファイルシステムを提供し、リソース管理を容易にする。
cgroups & namespaces	Linux のリソース管理機能を活用し、プロセスやメモリの分離を実施。

LXC/LXD の主な機能

LXC/LXD は、仮想マシンに近い環境を提供するために、以下の機能を備えています。

フル OS のコンテナ化: Ubuntu、Debian、CentOS などのディストリビューションをコンテナとして実行可能。
スナップショット機能: コンテナの状態を保存し、復元可能。
ライブマイグレーション: 実行中のコンテナを別のホストに移動可能。
ネットワーク管理: NAT やブリッジを使った仮想ネットワークの構築が可能。
ストレージプール管理: ZFS、Btrfs、LVM などのストレージバックエンドをサポート。

LXC/LXD の用途

LXC/LXD は、以下のようなシナリオで活用されています。

開発 & テスト環境: 仮想マシンよりも軽量なテスト環境を構築可能。
クラウド環境: プライベートクラウドやデータセンターでの仮想化基盤として利用。
サーバーの統合 & 分離: 複数のアプリケーションを個別のコンテナで実行し、干渉を防ぐ。
CI/CD パイプライン: 軽量な環境でビルドやテストを実施可能。

LXC/LXD と Docker の比較

LXC/LXD は Docker とは異なる用途で使われます。

項目	LXC/LXD	Docker
コンテナの種類	フル OS コンテナ	アプリケーションコンテナ
主な用途	仮想マシンに近い環境	マイクロサービスの実行
管理方法	システム全体を管理	単一アプリケーションを管理
スナップショット	対応	非対応
ネットワーク管理	高度なネットワーク設定が可能	シンプルなネットワーク設定