FTP(File Transfer Protocol)

FTP

FTPの仕組みとは

FTP (File Transfer Protocol) は、インターネットや TCP/IP ネットワークを介してファイルを送受信するための標準的なプロトコルです。1970年代に開発された FTP は、サーバーとクライアント間でファイルをアップロードしたり、ダウンロードしたりするために使用されます。FTP は、ファイル転送の基本的な仕組みを提供し、広く使用され続けています。

FTP の基本的な仕組み

FTP はクライアント-サーバーモデルに基づいており、ファイル転送には 2 つの主要なチャンネルが使用されます。

  • 制御接続 (Control Connection): クライアントとサーバーがコマンドや応答をやり取りするための接続です。この接続を通じて、クライアントがファイルの送信や取得のリクエストを行い、サーバーがそれに応答します。
  • データ接続 (Data Connection): ファイルそのものの転送が行われる接続です。データ接続は、実際のファイルのアップロードやダウンロードに使用され、制御接続とは別に設定されます。

FTP の動作モード

FTP には、2 つの動作モードがあります。それぞれ、データ接続の設定方法が異なります。

  • アクティブモード (Active Mode): クライアントがサーバーに接続要求を送り、サーバーがクライアントに対してデータ接続を確立します。このモードでは、クライアントが受信ポートを開き、サーバーからの接続を待ちます。
  • パッシブモード (Passive Mode): ファイアウォールの制限がある環境で使用されるモードです。クライアントがサーバーにデータ接続を確立するための指示を送り、クライアント側がサーバーの指定するポートに接続してデータを送受信します。

FTP の主要なコマンド

FTP では、クライアントがサーバーに対して様々なコマンドを送信し、ファイル操作を行います。以下は、FTP でよく使用される主要なコマンドです。

  • USER: FTP サーバーにログインするためのユーザー名を指定します。
  • PASS: ログイン時にパスワードを送信します。
  • LIST: サーバー上のディレクトリやファイルの一覧を取得します。
  • RETR: サーバーからファイルをダウンロードします。
  • STOR: クライアントからファイルをアップロードします。
  • QUIT: FTP セッションを終了します。

FTP の用途

FTP は、インターネットやローカルネットワークを介したファイルの送受信に幅広く使用されています。具体的には、以下のような用途があります。

  • ウェブサイトの管理: FTP は、ウェブサーバーにファイルをアップロードするために一般的に使用され、ウェブページやリソースの更新に利用されます。
  • ファイルの共有: 大きなファイルや複数のファイルを他のユーザーと共有するために FTP を使用することができます。
  • バックアップとアーカイブ: 重要なデータのバックアップやアーカイブをリモートサーバーに保存する手段としても使用されます。

FTP のセキュリティ

FTP は、セキュリティにいくつかの課題があります。特に、ユーザー名、パスワード、およびデータが暗号化されずに平文で送信されるため、盗聴されるリスクがあります。そのため、以下のセキュリティ対策が重要です。

  • FTPS (FTP Secure): FTP を SSL/TLS 暗号化で保護するプロトコルで、セキュリティを強化します。
  • SFTP (SSH File Transfer Protocol): FTP とは異なるプロトコルですが、SSH 経由でファイル転送を行い、高いセキュリティを提供します。
  • ファイアウォールとアクセス制御: FTP サーバーへの不正アクセスを防ぐために、適切なファイアウォール設定とアクセス制御が重要です。

まとめ

FTP は、ファイル転送のための標準プロトコルとして長年利用されてきました。制御接続とデータ接続を使用して、クライアントとサーバー間でファイルの送受信を効率的に行います。セキュリティ上の懸念から、FTPS や SFTP のような暗号化された代替プロトコルも登場しており、セキュリティ対策を講じた運用が求められますが、依然として多くの場面で利用されています。