mtr:経路+パケットロス解析のコマンド

mtr

mtrコマンドについての概要と詳細

mtrコマンドとは

mtrコマンド(My Traceroute)は、pingtracerouteの機能を統合した、ネットワーク経路診断のためのリアルタイム表示ツールです。指定したホストやIPアドレスまでの経路上すべての中継ルータ(ホップ)ごとに、到達性・遅延・パケットロスの統計をリアルタイムで監視できます。ネットワークトラブルシューティングやパフォーマンス分析に非常に便利な定番コマンドです。

主な用途

  • ネットワーク経路上の遅延やパケットロスの発生箇所特定
  • 通信障害や遅延の原因調査、パフォーマンス分析
  • 経路途中のルータの応答状態・変化をリアルタイムに監視
  • ネットワークの品質や安定性の可視化・レポート作成

主な特徴

  • リアルタイム経路監視:経路途中すべてのホップの応答速度・パケットロスを継続的に計測・表示
  • 統計情報の自動更新:平均応答時間・標準偏差・ロス率などを常時リアルタイム表示
  • 対話型UI/非対話型出力両対応:インタラクティブ画面だけでなく、CSVやテキストレポート出力も可能
  • ICMP/UDP/TCPの選択可能:ファイアウォール対策や特定用途に合わせてプロトコル指定もOK
  • IPv6対応:mtr、mtr6両方をサポート(またはmtr -6

基本的な使い方

mtr [オプション] ホスト名またはIPアドレス
  • mtr www.example.com:指定ホストへの経路・品質をリアルタイム表示
  • mtr -rw 8.8.8.8:非対話型で20回計測し結果を一括レポート
  • mtr -n www.example.com:IPアドレスのみ表示(ホスト名解決なし)
  • mtr -6 ipv6.example.com:IPv6で経路診断
  • mtr --report-cycles 50 www.example.com:50回計測後にレポート出力

主なオプション一覧

オプション説明
-r, --report非対話型で集計レポートのみ表示
-w, --report-wideワイドな詳細レポート表示
-c, --report-cycles [回数]指定回数でレポート出力
-nホスト名を解決せずIPアドレスのみ表示
-4 / -6IPv4 / IPv6 で通信
-p統計情報の詳細表示
-uUDPで送信(デフォルトはICMP)
-TTCP SYNパケットで送信

インストール方法

RPM系(RedHat, CentOS, Fedoraなど)
$ sudo dnf install mtr 

Debian系(Debian, Ubuntuなど)
$ sudo apt install mtr
  • RPM系(RedHat, CentOS, Fedoraなど): sudo dnf install mtr # または sudo yum install mtr
  • Debian系(Debian, Ubuntuなど): sudo apt install mtr
  • macOS(Homebrew): brew install mtr

mtrの活用ポイント

  • ネットワークの遅延やパケットロスが発生している経路やルータの特定に最適
  • 障害やパフォーマンス問題の初動調査、ベンダーやISPへの証拠提出にも活用
  • レポート形式での出力やスクリプト連携で自動監視にも利用できる

まとめ

mtrコマンドは、pingとtracerouteの長所を融合したネットワーク経路診断ツールです。リアルタイムな統計・経路情報をもとに、ネットワーク障害の原因究明やパフォーマンス管理に幅広く活用できます。