rclone:クラウド転送の万能ツール

rclone

rcloneコマンドについての概要と詳細

rcloneとは

rcloneは、クラウドストレージとのファイル同期・転送・バックアップを行う高機能コマンドラインツールです。Google Drive、Dropbox、Amazon S3、OneDrive、Box、WebDAV、SFTPなど、90種類以上のストレージサービスに対応しており、「クラウドのrsync」とも呼ばれるほどの柔軟性と強力な機能を備えています。

主な特徴

  • 90以上のクラウドサービスに対応(Google Drive、S3、OneDriveなど)
  • ローカル ↔ クラウド間、クラウド ↔ クラウド間の転送も可能
  • 差分同期、暗号化、圧縮、帯域制限、ファイル除外など多彩なオプション
  • cronなどと組み合わせた自動バックアップに最適
  • GUI版(rclone web UI)も提供

インストール方法

Debian/Ubuntu系
$ sudo apt install rclone

Fedora系
$ sudo dnf install rclone

初期設定

rcloneは設定ファイルを使って各クラウドサービスへの接続設定を管理します。初回は以下のコマンドで設定ウィザードを実行します。

$ rclone config

対話式でリモート名、ストレージの種類、認証情報などを設定していきます。

基本的な使い方

ローカル → クラウドへのアップロード

$ rclone copy /path/to/data remote:backup-folder

クラウド → ローカルへのダウンロード

$ rclone sync remote:backup-folder /path/to/local

クラウド間のコピー

$ rclone copy drive1:docs drive2:docs-backup

Web UIの起動

$ rclone rcd --rc-web-gui

ブラウザで http://localhost:5572 にアクセスすることでGUI管理も可能です。

代表的なオプション

  • --dry-run:実行せずに動作をシミュレート
  • --progress:進行状況を表示
  • --exclude:指定したファイルやディレクトリを除外
  • --bwlimit:帯域制限(例:--bwlimit 1M
  • --transfers:同時転送数の設定

活用例

  • Google Driveに定期的なバックアップをcronで実行
  • 会社のNASからAWS S3へ夜間自動転送
  • 複数クラウド間でのデータミラーリング
  • ファイルの暗号化・復号をrcloneで自動処理

セキュリティと暗号化

rcloneは、接続情報をローカルの設定ファイル(通常は~/.config/rclone/rclone.conf)に保存します。GPGでの暗号化保存も可能です。また、転送中の通信はHTTPSまたはSFTPなどを使用するため、安全性が高いです。さらに、rclone独自の「crypt」リモートを使うことで、クラウド上のファイルを自動的に暗号化することも可能です。

まとめ

rcloneは、クラウドストレージとローカルの間を自由自在に同期・バックアップできる非常に高機能なツールです。マルチクラウド環境でのデータ統合や、自動化されたバックアップ、暗号化転送など、さまざまなニーズに対応します。GUI版やWebインターフェースもあり、初心者から上級者まで幅広く利用されています。
クラウドと連携したバックアップ戦略を考えるなら、まず導入を検討すべきツールのひとつです。