initdとsystemdの違い

initとsystemd

はじめに

Linuxのシステム起動とサービス管理は、初期化デーモン(initシステム)によって行われます。長い間、SysVinit(initd)が主流でしたが、近年ではsystemdが多くのディストリビューションで標準となっています。本記事では、initdとsystemdの概要、それぞれの特徴、そして両者の違いや比較について詳しく説明します。

initd(SysVinit)とは

概要

initdは、Unix系オペレーティングシステムの初期化システムの一つで、最初にプロセスID 1(PID 1)として起動され、他のすべてのプロセスの親となるプロセスです。SysVinitとも呼ばれ、1970年代から使われている伝統的なinitシステムです。

主な特徴

  • シンプルな構造:
    • initdはシンプルなスクリプトベースのシステムであり、各サービスの起動・停止スクリプトが/etc/init.dディレクトリに配置されます。
  • ランレベルの使用:
    • initdは、システムの動作モードを制御するためにランレベルを使用します。各ランレベルには特定のサービスが関連付けられており、システムの状態を管理します。
  • シーケンシャルなサービス起動:
    • サービスの起動と停止はシーケンシャルに行われるため、依存関係があるサービスの管理が簡単です。

メリットとデメリット

  • メリット:
    • シンプルで理解しやすい。
    • 既存のスクリプトやツールが豊富。
  • デメリット:
    • 並列起動が難しく、ブート時間が長くなることがある。
    • 依存関係の管理が手動で行われるため、複雑になることがある。

systemdとは

概要

systemdは、Linuxシステムおよびサービスマネージャとして設計された最新のinitシステムで、従来のSysVinitを置き換えることを目的としています。2010年に初めてリリースされ、多くの主要なLinuxディストリビューションで標準となっています。

主な特徴

  • 並列起動:
    • systemdは、サービスを並列に起動することができ、システムのブート時間を大幅に短縮します。
  • ユニットファイルの使用:
    • systemdでは、各サービスはユニットファイルで定義され、/etc/systemd/systemディレクトリに配置されます。これにより、設定がシンプルで一貫性があります。
  • 依存関係の自動管理:
    • systemdは、サービスの依存関係を自動的に解析し、最適な順序でサービスを起動します。
  • ログ管理(journald):
    • systemdには、ログ管理システムであるjournaldが統合されており、システムログを一元管理します。

メリットとデメリット

  • メリット:
    • 高速なブートプロセス。
    • 依存関係の自動管理。
    • 豊富な機能と統合されたログ管理。
  • デメリット:
    • 複雑で学習コストが高い。
    • システムのすべての部分がsystemdに依存するため、柔軟性が低くなることがある。

initdとsystemdの比較

特徴initd(SysVinit)systemd
起動方式シーケンシャル起動並列起動
設定ファイルシェルスクリプトユニットファイル(ini形式)
依存関係の管理手動自動
ランレベル使用ターゲットユニット(代替)
ログ管理syslogを使用journaldを統合
ブート速度遅い高速
学習コスト低い高い

まとめ

initd(SysVinit)とsystemdは、Linuxのシステム起動およびサービス管理のための重要なコンポーネントです。initdはシンプルで理解しやすい一方、systemdは高速で強力な機能を提供します。各ディストリビューションや使用環境に応じて、適切なinitシステムを選ぶことが重要です。現代の多くのシステムではsystemdが標準となっていますが、伝統的なSysVinitも特定のシナリオで依然として利用されています。