テープDLT(Digital Linear Tape)
目次
DLT(Digital Linear Tape)の概要と説明
はじめに
DLT(Digital Linear Tape)は、1980年代に開発された磁気テープストレージの技術で、特に大容量データのバックアップやアーカイブに使用されます。DLTは、信頼性が高く、コスト効率に優れているため、長期保存が求められる業務用途や企業のデータバックアップで広く利用されてきました。DLTは、データストレージ技術の歴史の中で重要な役割を果たし、進化を続けながらもLTO(Linear Tape-Open)などと共に市場に存在しています。
DLTの特徴
DLTは、その堅牢性と信頼性により、長期間のデータ保存に適しているという特長があります。主な特徴は次の通りです。
- 高信頼性:DLTは耐久性があり、数十万回のリード/ライト操作に耐えることができます。これにより、長期的なデータ保存や繰り返し利用が可能です。
- 大容量のデータ保存:DLTの初期バージョンでも数十ギガバイトのデータを保存でき、その後の技術進歩により、数百ギガバイトに対応するモデルも登場しました。
- オフラインストレージ:DLTは物理的にテープをオフラインで保存できるため、データ漏洩や不正アクセスのリスクが軽減され、セキュリティが向上します。
- 長寿命:適切な環境で保管されると、DLTテープは10年以上データを保持することが可能です。
DLTの技術的な仕組み
DLTは、磁気テープにデータを直線的に書き込み、データの保存とアクセスを行う技術です。テープの表面に記録ヘッドが接触しながら、テープドライブ内でテープが巻き取られていきます。これにより、データの読み書きが順次行われる仕組みとなっています。 DLTテープは、複数のトラック(書き込み用のレーン)を持ち、データは直線的な軌道に沿って書き込まれます。この技術により、従来の磁気テープと比べてデータの密度が高くなり、大容量化を実現しています。
DLTの進化とバリエーション
DLTは、初期モデルからその後のバージョンで大幅な改良が加えられ、より大容量、高速なデータ転送が可能となりました。以下は、代表的なDLTのバージョンです。
- DLT-4000: 容量が20GB(圧縮時40GB)、転送速度1.5MB/s。
- DLT-7000: 容量が35GB(圧縮時70GB)、転送速度5MB/s。
- DLT-8000: 容量が40GB(圧縮時80GB)、転送速度6MB/s。
- SuperDLT(SDLT): 容量が160GB(圧縮時320GB)に達し、転送速度が16MB/sに向上。
このように、DLTは技術の進化に伴い、より大容量で高性能なデータ保存が可能となりました。特にSuperDLT(SDLT)は、従来のDLTの強みを活かしつつ、さらに高速かつ大容量のデータ保存を実現しました。
DLTの主な用途
DLTは、特に企業のバックアップやアーカイブ用途に適しており、大規模なデータ保存が求められる場面で使用されています。以下は、主な用途の一例です。
- データバックアップ: 企業のサーバーやデータセンターで、大量のデータを効率的にバックアップするために使用されます。
- アーカイブ: 法律上の要件や長期的な業務データの保存が求められる場合、DLTはアーカイブ用のメディアとして利用されます。
- ディザスタリカバリ: 災害発生時にシステムやデータを迅速に復旧するための手段として、オフラインストレージのDLTが役立ちます。
DLTと他のテープ技術の比較
DLTは、LTO(Linear Tape-Open)などの他のテープ技術と競合しています。以下に、DLTとLTOの比較を簡単に示します。
項目 | DLT | LTO |
---|---|---|
最大容量 | 160GB(SDLTの場合) | 18TB(LTO-9の場合) |
転送速度 | 16MB/s(SDLTの場合) | 400MB/s(LTO-9の場合) |
互換性 | 同じ世代のテープドライブでのみ使用可能 | 前世代と後方互換性あり |
LTOは、より高い容量と転送速度を提供する一方で、DLTはその堅牢さや安定性から引き続き使用されている場面もあります。
まとめ
DLT(Digital Linear Tape)は、信頼性の高い磁気テープストレージ技術として、長期的なデータ保存やバックアップの分野で重要な役割を果たしてきました。特に、企業やデータセンターにおける大規模なデータ管理のために使用されることが多く、その堅牢性と長寿命が評価されています。技術の進化により、より大容量で高速なデータ保存が可能となったDLTは、今後も特定の用途で使用され続けるでしょう。