MPLライセンス
目次
MPLライセンスについての概要と説明
MPL(Mozilla Public License)は、Mozilla Foundation によって作成されたオープンソースソフトウェアライセンスで、ソースコードの改変と再配布を許可しつつも、特定の条件を課すことでオープンソースソフトウェアの利点を維持することを目的としています。MPL は商業利用を含めたソフトウェアの使用、改変、配布を可能にしながら、ソースコードの一部を保護するというバランスの取れたライセンスとなっています。
MPLライセンスの特徴
MPLは、GPL(GNU General Public License)やBSDライセンスと同様にオープンソースライセンスの一つですが、いくつか独自の特徴があります。
- モジュール単位の保護: MPLライセンスは、ソフトウェア全体ではなく、特定のモジュールに対して適用されます。これにより、MPLライセンスが適用される部分と、他のライセンスやプロプライエタリな部分が共存することが可能です。
- ソースコードの公開義務: MPLライセンスの下で配布されるソフトウェアの改変版を再配布する際には、MPLライセンスのモジュール部分に対してソースコードを公開する義務があります。しかし、他の部分についてはプロプライエタリにすることが可能です。
- 再配布の柔軟性: MPLは、改変したソースコードをバイナリ形式で配布することも許可していますが、MPL部分のソースコードは同時に公開しなければなりません。
- 商業利用が可能: MPLは商業的な利用を制限せず、商業製品に組み込むことも許可されています。特に、プロプライエタリなソフトウェアとの統合が容易です。
MPLライセンスと他のライセンスとの比較
1. MPLライセンス vs. GPL(GNU General Public License)
GPLは、ソフトウェアの自由な利用と改変を保障しつつ、改変されたソフトウェアのソースコード公開を義務付けます。GPLの下で配布されたソフトウェアに変更を加えて再配布する場合、変更部分を含めた全体のソースコードを公開しなければなりません。一方、MPLはソースコードの公開をモジュール単位で制限しており、プロプライエタリなコードとの共存が可能です。
2. MPLライセンス vs. LGPL(Lesser General Public License)
LGPLは、GPLと似ていますが、ライブラリなどに適用されることが多く、プロプライエタリなソフトウェアと連携して使用する場合に柔軟性を持たせています。MPLも同様に、特定のモジュールのみを保護し、他の部分に対してプロプライエタリなコードを追加することが可能です。MPLの方がさらに緩やかで、商業製品への統合に対して柔軟な選択肢を提供します。
3. MPLライセンス vs. BSDライセンス
BSDライセンスは非常に寛容で、ソースコードの公開義務がなく、改変されたソフトウェアを商業目的で利用する場合でも、ソースコードを非公開にすることができます。MPLは、特定のモジュールに対してソースコード公開の義務を課しますが、BSDライセンスよりも保護が強くなります。
MPLライセンスの適用例
MPLライセンスは、Mozillaプロジェクトのソフトウェアに適用されていることで有名です。以下は、MPLが適用されている代表的なソフトウェアです。
- Mozilla Firefox: MPLライセンスを代表するウェブブラウザであり、世界中で広く利用されています。
- Mozilla Thunderbird: メールクライアントソフトウェアで、こちらもMPLライセンスが適用されています。
- Rustプログラミング言語: Mozillaが主導して開発したプログラミング言語であり、システムレベルのプログラムに対して安全性と高速性を両立させた設計が特徴です。
MPLライセンスのメリット
- プロプライエタリソフトウェアとの併用が可能: MPLライセンスは、ソースコードをモジュール単位で保護するため、プロプライエタリなコードとの共存が容易です。
- ソースコード公開の範囲が限定される: 改変されたソフトウェアの再配布時には、MPL部分のソースコードのみを公開する必要があり、全体のソースコードを公開する義務はありません。
- 商業利用に適している: MPLは商業利用を制限せず、企業が開発するプロプライエタリなソフトウェアにも組み込みやすいライセンスです。
まとめ
MPLライセンスは、ソースコードの自由な利用と改変を可能にしながらも、商業利用やプロプライエタリなソフトウェアとの統合において柔軟性を提供するオープンソースライセンスです。Mozillaの主要プロジェクトで使用されることで広く知られ、多くの開発者に支持されています。MPLは、GPLのような厳格なライセンスとBSDライセンスのような寛容なライセンスの中間に位置し、オープンソースの利点を享受しつつも、商業的な活用が可能なバランスの取れたライセンスといえるでしょう。