Amanda:スケーラブルな自動バックアップ

目次
Amandaについての概要と詳細
Amandaとは
Amanda
(Advanced Maryland Automatic Network Disk Archiver)は、企業や組織向けに設計されたスケーラブルなネットワークバックアップソリューションです。複数のクライアントを1台のバックアップサーバで一元的に管理できるのが最大の特長で、Linux、UNIX、macOS、Windowsといった異なるOSに対応しています。
ネットワーク経由での自動バックアップを実現し、大規模なシステムでも安定して運用可能な柔軟性と拡張性を備えています。バックアップはテープ、ディスク、クラウド(Amazon S3など)など様々なメディアに対応しています。
主な特徴
- クライアント-サーバ構成:複数台のバックアップを一括管理可能
- スケーラビリティ:数百~数千台規模にも対応
- テープやディスク、クラウドに対応:多様な保存先をサポート
- スケジューリング機能:指定した時間・頻度で自動実行
- 圧縮・暗号化対応:通信経路や保存データのセキュリティ強化が可能
- 増分・完全バックアップの自動切替:効率的なストレージ管理
インストール方法
Debian/Ubuntu系
$ sudo apt install amanda-server amanda-client
Fedora系
$ sudo dnf install amanda amanda-client
基本構成
Amandaは以下の2つの主要コンポーネントから成り立ちます:
- サーバ(backup server):バックアップのスケジューリング・保存・管理を行う中心システム
- クライアント(backup client):バックアップ対象となるホスト
主な利用手順
1. コンフィグ作成
/etc/amanda/
以下にバックアップ設定を記述するディレクトリ(例:DailySet1
)を作成し、amanda.conf
やdisklist
などで対象・頻度・保存先を定義します。
2. バックアップ実行
$ amdump DailySet1
設定に従い、増分または完全バックアップが自動で実行されます。
3. リストアの実行
$ amrecover DailySet1
対話形式で復元可能。ファイル単位の検索や日時指定でのリカバリもサポート。
保存先の例
- ローカルディスク(/backup など)
- テープドライブ(DAT、LTOなど)
- Amazon S3(プラグイン経由で対応)
セキュリティ面
- 認証制御:クライアント認証機能により信頼できる通信を確保
- 暗号化:GPGなどを利用したバックアップデータの暗号化に対応
- アクセス制御:
.amandahosts
によりアクセス制限が可能
活用シーン
- 学校・研究機関・企業内の複数台バックアップの一元管理
- 定期的なデータ保護を自動化してヒューマンエラーを削減
- 長期間保存が必要な法令対応バックアップ(テープ活用)
まとめ
Amandaは、ネットワーク越しに複数のシステムを統合的にバックアップ管理できる強力なフレームワークです。サーバとクライアントの明確な役割分担により、柔軟で信頼性の高いバックアップ体制を構築できます。特に中規模以上のネットワーク管理者にとって、Amandaはバックアップ管理の効率化において非常に有力な選択肢です。