dump/restore:ext専用の直系バックアップ

目次
dump / restore コマンドについての概要と詳細
dump / restoreとは
dump
およびrestore
は、UNIX/Linuxにおけるファイルシステム全体のバックアップおよび復元を行う伝統的なツールです。特に ext2 / ext3 / ext4 ファイルシステム向けに設計されており、ブロック単位でバックアップを取得するため、正確かつ完全なデータ保存が可能です。
dump
はバックアップの取得に使用され、restore
はそのデータの復元に使用されます。ファイル単位ではなくファイルシステム全体を対象とするため、ディスククラッシュや誤削除からの完全復旧を目的としたバックアップに向いています。
主な特徴
- ファイルシステム単位のバックアップ:完全性が高い
- 差分バックアップ対応:レベル指定で増分取得が可能
- 高速で信頼性の高い処理:ブロック単位で読み出し
- スーパーユーザー権限が必要:システム全体の操作を行うため
- 古くから存在する安定したツール:UNIX系システムでの実績多数
対応ファイルシステム
主にext2
、ext3
、ext4
。それ以外のファイルシステム(XFS, Btrfsなど)では利用できません。
インストール方法
Debian/Ubuntu系
$ sudo apt install dump
Fedora系
$ sudo dnf install dump
基本的な使い方
完全バックアップの取得
$ sudo dump -0u -f /backup/home.dump /dev/sda1
-0
:完全(フル)バックアップ-u
:/etc/dumpdates に記録-f
:出力先(ファイルやデバイス)
差分バックアップ
$ sudo dump -1u -f /backup/home_level1.dump /dev/sda1
この例では、前回のレベル0バックアップ以降の変更だけを保存します。
バックアップ内容の復元
$ cd /restorepoint
$ sudo restore -if /backup/home.dump
-i
:対話モード(ファイルやディレクトリの選択)-f
:復元元のファイルを指定
他のモード(restore)
-r
:完全復元(フルリストア)-t
:内容一覧の表示-x
:特定ファイルだけを復元
注意点
- マウント中のファイルシステムに対して
dump
を使うと、整合性が失われる可能性があります。通常は読み取り専用またはアンマウント状態で実行するのが望ましいです。 - 対応するファイルシステムが限定されており、XFS や Btrfs では使用できません。
活用シーン
- ファイルシステム単位でのバックアップが必要な場合
- 災害復旧(ディザスタリカバリ)の対策としての完全復元
- 古いシステムの保守・再構築時のバックアップ取得
まとめ
dump/restore
は、信頼性の高いファイルシステム単位のバックアップツールとして長年利用されてきた歴史あるユーティリティです。現在では新しいツールが登場していますが、特定のシナリオ(特にext系ファイルシステムを対象とした完全バックアップ)では依然として有効です。扱いには管理者権限やファイルシステムの理解が求められますが、シンプルで強力な復元手段を提供してくれます。