マルチモードファイバ(MMF)

MMF

マルチモードファイバ(MMF)とは?構造・伝送原理・分散・規格

マルチモードファイバ(Multi Mode Fiber, MMF)は、 主に短距離・高速通信に適した光ファイバです。

データセンター内配線やラック間接続など、 比較的短距離で高帯域が求められる環境で広く利用されています。

シングルモードファイバ(SMF)とは異なり、 複数の光経路(モード)を同時に伝搬させる構造を持つため、 設計思想や特性も大きく異なります。

本記事では、 MMFの構造、伝送特性、分散、規格、 そして実務での設計ポイントまで詳しく解説します。

マルチモードファイバとは何か

マルチモードファイバとは、

複数の光経路(モード)を同時に伝搬させる光ファイバ

です。

光は複数の経路を通って進むため、 同一の信号でも異なる時間で到達します。

これがMMFの特徴であり、 同時に制約でもあります。

基本構造とコア径

MMFの特徴は、 比較的大きなコア径にあります。

代表的なコア径は以下です。

  • 50μm
  • 62.5μm

クラッドは125μmで、 SMFと同様です。

コアが大きいため、 多くの光が入射でき、 複数のモードが発生します。

モードとは何か

モードとは、 光がファイバ内を伝搬する経路のことです。

MMFでは、

  • 直進する光
  • 反射しながら進む光

など、 複数の経路が存在します。

これにより、 同じ信号でも到達時間に差が生じます。

モード分散(最重要ポイント)

MMFの最大の課題は、 モード分散です。

異なる経路を通る光が、 異なるタイミングで到達することで、 信号が広がります。

これにより、 波形が崩れ、 通信速度や距離に制限が生じます。

このため、 MMFは長距離通信には向いていません。

グレーデッドインデックス構造

現代のMMFでは、 グレーデッドインデックス(GI)構造が採用されています。

これは、 コアの屈折率を中心から外側に向かって変化させることで、 モード分散を低減する仕組みです。

これにより、 光の到達時間差が小さくなり、 高速通信が可能になります。

OM規格(重要)

MMFには、 性能を示すOM規格があります。

主な規格は以下です。

OM1

コア径62.5μm、 古い規格で、 帯域が低く、 現在はほとんど使用されません。

OM2

50μmコア、 やや高性能ですが、 新規導入ではあまり使われません。

OM3

レーザー最適化ファイバで、 10Gbps通信に対応します。

データセンターで広く使用されています。

OM4

OM3よりも高帯域で、 長距離の10Gbpsや 40/100Gbps通信に対応します。

OM5

広帯域波長対応(SWDM)に対応し、 複数波長による通信が可能です。

光源との関係

MMFでは、 主に以下の光源が使用されます。

  • LED(低速)
  • VCSEL(高速)

現在は、 VCSELが主流です。

これは、 高効率で高速通信に適しているためです。

伝送距離と速度

MMFは、 距離と速度にトレードオフがあります。

例えば、

  • 10Gbps:約300m(OM3)
  • 40Gbps:約100m

といった制限があります。

長距離ではSMFが必要になります。

コネクタと接続方式

MMFでは、 主に以下のコネクタが使用されます。

  • LC
  • MPO/MTP(多芯)

特に高速通信では、 MPOによる並列伝送が重要になります。

実務での利用シーン

MMFは、 主に短距離通信で使用されます。

データセンター内では、 ラック間や装置間接続に最適です。

また、 企業内ネットワークでも、 高速バックボーンとして利用されます。

MMFのメリット

MMFの利点は、 機器コストの低さです。

トランシーバ(光モジュール)が安価で、 導入コストを抑えられます。

また、 接続が比較的容易で、 施工性にも優れています。

MMFのデメリット

一方で、 距離制限が大きな課題です。

モード分散により、 長距離通信には適していません。

また、 将来的な拡張性では、 SMFに劣る場合があります。

SMFとの使い分け

MMFとSMFは、 用途によって明確に使い分けます。

短距離・低コストを重視する場合はMMF、 長距離・高帯域を重視する場合はSMFです。

まとめ

マルチモードファイバは、 短距離高速通信に特化した光ファイバです。

その特徴は、

  • 複数モードによる伝送
  • 低コスト
  • 高い施工性

にあります。

一方で、

  • モード分散
  • 距離制限

といった制約も存在します。

用途に応じて適切に選択することで、 効率的なネットワーク設計が可能になります。

MMFの理解は、 データセンターや企業ネットワークにおいて重要な知識です。