シングルモードファイバ(SMF)

SMF

シングルモードファイバ(SMF)とは?構造・伝送原理・分散・設計

シングルモードファイバ(Single Mode Fiber, SMF)は、 長距離・高速通信を実現するための光ファイバです。

通信キャリア網、データセンター間接続、FTTHなど、 現代のネットワークインフラの中核を担っています。

その性能は、 単に「長距離に強い」というレベルではなく、 分散特性、波長設計、光源特性など、 高度な物理設計に基づいています。

本記事では、 SMFの構造、伝送特性、分散、損失、 そして実務での設計ポイントまで詳しく解説します。

シングルモードファイバとは何か

シングルモードファイバとは、

単一の伝播モード(光路)のみを通すよう設計された光ファイバ

です。

これにより、 光の拡散(モード分散)がほぼ発生せず、 長距離でも信号品質を維持できます。

基本構造とコア径

SMFの特徴は、 非常に細いコア径にあります。

一般的には約9μmのコアを持ちます。

クラッドは125μmで、 屈折率差により光を閉じ込めます。

コアが細いため、 入射できる光の角度が制限され、 結果として単一モードのみが伝播します。

モードと伝搬

光ファイバにおける「モード」とは、 光の伝搬経路のことです。

マルチモードでは複数の経路がありますが、 SMFでは1つのみです。

これにより、 信号の到達時間のばらつきがなくなり、 高精度な通信が可能になります。

分散(Dispersion)

SMFにおいて重要なのが分散です。

分散とは、 光信号の広がりによって波形が崩れる現象です。

主な分散は以下です。

  • クロマティック分散(波長分散)
  • 偏波モード分散(PMD)

クロマティック分散は、 波長ごとの速度差によって発生します。

PMDは、 偏波状態による伝搬速度差です。

これらは長距離・高速通信で重要な問題となります。

減衰(Attenuation)

光信号は距離とともに減衰します。

SMFの減衰は非常に小さく、

  • 1310nm:約0.35 dB/km
  • 1550nm:約0.2 dB/km

程度です。

この低減衰により、 数十km以上の伝送が可能になります。

波長と伝送特性

SMFでは、 使用する波長が重要です。

代表的な波長は以下です。

  • 1310nm:分散が小さい
  • 1550nm:減衰が最小
  • 1625nm:監視用途

長距離通信では、 1550nm帯が主に使用されます。

ITU-T規格(G.652など)

SMFには国際規格があります。

代表的なのはITU-T G.652です。

これは「標準シングルモードファイバ」であり、 広く使用されています。

その他にも、 分散特性を最適化したG.653やG.655などがあります。

レーザー光源との関係

SMFでは、 レーザー光源(LD)が使用されます。

これは、 単一モードを安定して励起するためです。

LEDでは指向性が弱く、 SMFには適しません。

伝送速度と距離

SMFは、 非常に高い伝送性能を持ちます。

10Gbps、40Gbps、100Gbps、 さらにはそれ以上の通信が可能です。

距離も、 数十kmから数百kmに及びます。

DWDMと波長多重

SMFでは、 波長分割多重(WDM)が利用されます。

特にDWDMでは、 複数の波長を同時に使用することで、 大容量通信を実現します。

これにより、 1本のファイバでTbps級の通信が可能になります。

実務での利用シーン

SMFは、 長距離通信において不可欠です。

通信キャリアのバックボーンでは、 ほぼすべてSMFが使用されています。

また、 データセンター間接続(DCI)でも、 SMFが標準です。

設計上のポイント

SMFを設計する際は、 以下を考慮する必要があります。

  • リンクバジェット(損失計算)
  • 分散管理
  • コネクタ損失
  • スプライス損失

これらを正確に計算しないと、 通信品質が確保できません。

施工と取り扱い

光ファイバは、 物理的に繊細です。

過度な曲げや引っ張りは、 損失増加や断線の原因になります。

そのため、 最小曲げ半径を守る必要があります。

メリットとデメリット

SMFのメリットは、

  • 長距離伝送
  • 高帯域
  • 低減衰

です。

一方で、

  • 機器コストが高い
  • 施工が難しい

といったデメリットもあります。

まとめ

シングルモードファイバは、 現代ネットワークの基盤を支える技術です。

その特徴は、

  • 単一モードによる高精度通信
  • 長距離伝送能力
  • 大容量通信への対応

にあります。

一方で、 分散や損失といった物理特性を理解し、 適切に設計することが重要です。

SMFの理解は、 光ネットワーク設計において必須の知識です。