フルコピー(Full Copy)スナップショット
目次
フルコピー(Full Copy)スナップショットの概要と説明
フルコピー(Full Copy)スナップショットは、ファイルシステムやストレージ管理におけるバックアップの手法の一つであり、スナップショット作成時点のデータ全体を完全にコピーする方式です。スナップショットの作成時に、対象となるすべてのデータを別のストレージ領域にコピーするため、スナップショット時点でのデータの整合性が保たれます。
フルコピーは、コピーオンライト(Copy-on-Write)スナップショットとは異なり、データの変更が発生するかどうかに関係なく、スナップショット作成時にデータ全体を別途保存します。このため、後で変更があった場合でも、スナップショット時点の完全な状態が保存されており、復元時にデータの一貫性が確保されます。
フルコピー(Full Copy)スナップショットの仕組み
フルコピー方式のスナップショットは、スナップショットを作成する際に次の手順で動作します:
- スナップショット作成時、システムはスナップショット対象となるすべてのデータを、別のストレージ領域にコピーします。
- データ全体のコピーが完了するまで、スナップショットの作成プロセスが続きます。
- スナップショットが作成されると、その時点のデータが保存され、後で復元することが可能です。
この方法では、変更が加わったデータのみを保存するのではなく、すべてのデータをコピーするため、スナップショットの保存が非常にシンプルで確実です。しかし、フルコピー方式はデータ量が大きくなると時間がかかるため、大容量データのシステムには適していない場合があります。
フルコピースナップショットの利点
- データの完全性: フルコピー方式では、データ全体をコピーするため、スナップショット時点のすべてのデータが正確に保存されます。
- データ復元の信頼性: スナップショットが元データとは独立して保存されるため、復元時に完全な状態でデータを戻すことができます。
- 単純な運用: 複雑なデータ管理や追跡が不要で、データをそのまま丸ごと保存するため、スナップショットの運用が容易です。
フルコピースナップショットの欠点
- ストレージ容量の消費: フルコピー方式では、データ全体を保存するため、データ量が多い場合には大量のストレージ容量が必要になります。
- 作成時間の長さ: スナップショット作成時に全データをコピーするため、大量のデータを処理する場合には時間がかかります。
- パフォーマンスへの影響: スナップショット作成中は、データコピーが完了するまでシステムリソースを多く消費することがあり、特に大規模システムではパフォーマンスに影響が出ることがあります。
フルコピースナップショットの用途
フルコピー方式のスナップショットは、次のような場面で利用されることが多いです。
- 重要データのバックアップ: 企業のデータベースや重要なファイルシステムの完全なバックアップを取得する際に、フルコピー方式が使用されます。
- システム全体のバックアップ: システム全体のデータを安全に保存し、システム障害時の完全なリストアを目的とする場合に有効です。
- 法的要件に基づくデータ保存: フルコピーにより、データが変更されることなく保存されるため、法的な要件を満たすためのデータ保存方法として使用されます。
フルコピースナップショットとコピーオンライト(CoW)スナップショットの違い
フルコピースナップショットとコピーオンライト(CoW)スナップショットの主な違いは、スナップショット作成時に全データをコピーするか、データ変更時にのみコピーするかという点にあります。
フルコピースナップショット | コピーオンライト(CoW)スナップショット |
---|---|
データ全体をスナップショット作成時にコピー | データ変更時にのみ変更前のデータをコピー |
ストレージ容量を多く消費 | ストレージ容量の消費が少ない |
スナップショット作成時間が長い | スナップショット作成が高速 |
まとめ
フルコピー(Full Copy)スナップショットは、データ全体を丸ごとコピーして保存する方式で、スナップショット時点のデータの完全性を確保します。データ保全の信頼性が高いため、特に重要なデータのバックアップや法的要件に基づくデータ保存などの用途に適していますが、大容量のデータを扱う場合にはストレージの消費が増大するため、システムの運用においては慎重な検討が必要です。