COBOL

目次
COBOLとは
COBOL(コボル、Common Business-Oriented Language)は、1959年に開発された業務アプリケーション向けの高水準プログラミング言語です。
主にビジネス、金融、行政などの分野で利用されており、今なお多くの基幹系システムで稼働しています。
COBOLの特徴
COBOLは、以下のような特徴を持っています。
- 英語に近い文法: 非技術者でも読みやすい構文。
- ビジネス向け設計: 会計処理、帳票出力、大量データ処理に最適。
- 堅牢性と信頼性: 銀行・保険・政府などで長年使用されている安定性。
- 長寿命: 何十年も稼働し続けるシステムが多数存在。
- 固定形式(初期): 72文字以内で書くなど、独特の記述ルール。
COBOLの主な用途
COBOLは、次のような用途で利用されています。
- 銀行システム(口座管理、取引記録など)
- 保険システム(契約情報、保険料計算など)
- 企業の会計・給与システム
- 政府機関の基幹業務
COBOLプログラムの構造
COBOLは、明確に定義されたセクション構造を持ちます。
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. HelloWorld.
PROCEDURE DIVISION.
DISPLAY "Hello, World!".
STOP RUN.
- IDENTIFICATION DIVISION: プログラムの基本情報。
- ENVIRONMENT DIVISION: 入出力機器の情報(省略可)。
- DATA DIVISION: データ定義。
- PROCEDURE DIVISION: 実行処理の記述。
COBOLのメリット
- 高い可読性: 英文に近いためドキュメントとしても使える。
- 大量データ処理に強い: レガシーシステムでの高速処理が可能。
- 信頼性が高い: 重要な業務システムに多数の実績あり。
COBOLのデメリット
- モダン言語に比べて学習者が少ない: 若年層に不人気。
- 開発環境が限られる: 古いツールや専用OS環境が多い。
- オブジェクト指向など現代的機能が乏しい: 柔軟な設計には不向き。
COBOLの開発環境
COBOLは、以下のような開発環境で実行・開発が可能です。
- GnuCOBOL: 無料で使えるオープンソースのCOBOLコンパイラ。
- IBM COBOL: メインフレーム向けの商用コンパイラ。
- Micro Focus COBOL: WindowsやLinuxでも利用可能な開発ツール。
COBOLの現在と将来
多くの金融・行政機関がCOBOLを使用しており、レガシーシステムとして今なお現役です。
一方で、後継技術者の不足が深刻化しており、既存COBOL資産のモダナイズや保守が課題となっています。
まとめ
COBOLは、長年にわたり業務系システムを支えてきた信頼性の高い言語です。
現代的な開発とはスタイルが異なりますが、今でも社会インフラの根幹を担う重要な技術であり、レガシー環境において不可欠な存在です。