C++言語

目次
C++とは
C++(シープラスプラス)は、C言語を拡張したプログラミング言語であり、1983年にBjarne Stroustrup(ビャーネ・ストロヴストルップ)によって開発されました。オブジェクト指向プログラミング(OOP)の概念を取り入れつつ、C言語の高性能を維持しており、ゲーム開発、システムソフトウェア、組み込みシステム、金融システムなど幅広い分野で利用されています。
C++の特徴
C++は、C言語をベースにしながらも、以下のような特徴を持っています。
- オブジェクト指向プログラミング(OOP): クラス、継承、カプセル化、多態性(ポリモーフィズム)などの機能を提供。
- 高いパフォーマンス: C言語と同様に低レベルな操作が可能で、コンパイル後の実行速度が速い。
- 柔軟なプログラミングスタイル: 手続き型、オブジェクト指向型、関数型、テンプレートプログラミングなど、多様なスタイルで記述可能。
- 標準ライブラリ(STL): データ構造(リスト、ベクター、マップなど)やアルゴリズムを提供する。
- プラットフォーム非依存: C++コンパイラがあれば、さまざまなOSで動作可能。
C++の基本構造
以下に、C++プログラムの基本構造を示します。
基本的なC++プログラムの例
#include <iostream> // 標準入出力ライブラリ
using namespace std;
int main() {
cout << "Hello, World!" << endl; // 画面に文字列を表示
return 0; // プログラムの終了
C++の基本構文
1. 変数とデータ型
C++では、C言語と同様にデータ型を指定して変数を宣言します。
データ型の例
データ型 | 意味 | 例 |
---|---|---|
int | 整数型 | int x = 10; |
float | 浮動小数点数型 | float pi = 3.14; |
char | 文字型 | char c = 'A'; |
string | 文字列型(C++専用) | string name = "Taro"; |
bool | 真偽値型 | bool isTrue = true; |
2. 条件分岐(if文)
if 文を使って条件によって処理を変更できます。
#include <iostream>
using namespace std;
int main() {
int x = 10;
if (x > 5) {
cout << "xは5より大きい" << endl;
} else {
cout << "xは5以下です" << endl;
}
return 0;
}
3. 繰り返し処理(for, while ループ)
ループ処理を使用して、特定の処理を繰り返し実行できます。
for ループの例
#include <iostream>
using namespace std;
int main() {
for (int i = 0; i < 5; i++) {
cout << "i = " << i << endl;
}
return 0;
}
while ループの例
#include <iostream>
using namespace std;
int main() {
int i = 0;
while (i < 5) {
cout << "i = " << i << endl;
i++;
}
return 0;
}
4. クラスとオブジェクト
C++のオブジェクト指向の概念を活用したクラスの定義と利用方法を示します。
#include <iostream>
using namespace std;
// クラスの定義
class Person {
public:
string name;
int age;
// コンストラクタ
Person(string n, int a) {
name = n;
age = a;
}
// メソッド
void introduce() {
cout << "私は " << name << " です。" << endl;
cout << "年齢は " << age << " 歳です。" << endl;
}
};
int main() {
Person p1("山田 太郎", 25);
p1.introduce();
return 0;
}
C++の用途
C++は、以下のような分野で広く利用されています。
- ゲーム開発: 高性能なゲームエンジン(Unreal Engine、Unity など)に使用される。
- OS開発: WindowsやLinuxのカーネル部分の開発に利用。
- 組み込みシステム: マイクロコントローラーやIoTデバイスで使用。
- 金融システム: 高速処理が求められるトレーディングシステムなどに使用。
- Webブラウザ: ChromeやFirefoxのレンダリングエンジンがC++で書かれている。
C++のメリット
- 高い実行速度: コンパイル言語であり、最適化が可能なため高速。
- 柔軟性が高い: 低レベルと高レベルのプログラミングが両方可能。
- 強力なライブラリ: STL(Standard Template Library)を活用してデータ構造やアルゴリズムを簡単に利用可能。
C++のデメリット
- 学習コストが高い: C言語よりも複雑な概念(OOP、テンプレート、スマートポインタなど)が多い。
- メモリ管理の負担: ガベージコレクションがないため、メモリ管理を手動で行う必要がある。
まとめ
C++は、高速で柔軟なプログラミングが可能な強力な言語です。オブジェクト指向の概念を取り入れつつ、C言語の高性能を維持しており、幅広い分野で活用されています。ただし、学習コストやメモリ管理の難しさがあるため、適切な知識が求められます。